入国管理局の電算統計に基づく推計では,平成27年1月1日現在の不法残留者(許可された 在留期間を超えて不法に本邦にとどまっている者)数は6万7人である。平成26年1月1日現 在の5万9,061人と比べ946人(1.6%)増加し,過去最高であった5年5月1日現在の29万8,646 人以降,約22年ぶりに不法残留者が増加に転じた。 これは,継続的な不法滞在者の摘発を実施し,これまで不法残留者数を大幅に減少させてき たものの,近時その小口化・分散化が進み,大規模な摘発が困難になり,退去強制手続を執っ た外国人の数の減少傾向が続いているためであると考えられる。その一方で,近年,政府を挙 げて観光立国推進を掲げているところ,平成25年7月1日からASEAN諸国等への査証免除 及び査証発給要件緩和措置を実施した結果,26年の外国人入国者数は,前年と比べ大幅に増加 し,不法残留者数の増加に少なからず影響しているものと考えられる。

・国籍・地域別
不法残留者数が過去最高であった平成5年5月1日現在の不法残留者の国籍・地域 は,タイが最も多く,次いで韓国,フィリピン,中国,マレーシアの順となっているとこ ろ,27年1月1日現在は,韓国が1万3,634人(22.7%)で最も多く,以下,中国8,647人 (14.4%),タイ5,277人(8.8%),フィリピン4,991人(8.3%),台湾3,532人(5.9%)の 順となっている。 平成5年5月1日以降の推移を見ると,韓国については,「短期滞在」の在留資格に係る 活動を行おうとする者に対し,査証免除措置が実施されたことにより,新規入国者数が大幅 に増加したにもかかわらず,11年1月1日以降一貫して減少傾向にある。一方,タイは平成 5年5月1日以降一貫して減少を続けていたが,25年7月からの査証発給の緩和措置等によ り,「短期滞在」における新規入国者数が大幅に増加したことが影響し,26年1月1日と比 べ,886人(20.2%)増加の5,277人となっており,2年続けて増加している。また,ベトナ ムについても,平成26年1月1日と比べ,982人(66.8%)増加の2,453人となっており,3 年続けて増加している。

・在留資格別
平成27年1月1日現在の不法残留者数を不法残留となった直前の時点での在留資格別に 見ると,26年に引き続き「短期滞在」が4万1,090人で最も多く,全体の68.5%を占めてい る。以下,「日本人の配偶者等」3,709人(6.2%),「技能実習2号ロ」2,831人(4.7%), 「留学」2,806人(4.7%),「定住者」1,889人(3.1%)となっており,前年と比べ,「短 期滞在」が313人(0.8%),「日本人の配偶者等」が10人(0.3%),「定住者」が65人 (3.3%)減少したのに対し,「技能実習2号ロ」が1,132人(66.6%),「留学」が29人 (1.0%)増加している。
(入国管理局ホームページ 入管白書「出入国管理」ー27年版より)