平成26年中に退去強制手続を執った入管法違反者のうち,不法就労していたことが認め られた者は6,702人(62.8%)であり,我が国に潜伏する入管法違反者の多くが不法就労し ている状況にある。 このような状況は,不当に安い賃金で働く不法就労者が日本人労働者の雇用機会を奪 うことになるなど,公正な労働市場を侵害するとの指摘もなされているほか,不法就労先 をあっせんするブローカーが不当に多額の利益を得る一方で,不法就労者が賃金を搾取さ れたり,労働災害に遭っても十分な補償が受けられないなどの人権上の問題も発生してい る。 なお,平成22年7月1日に施行された改正入管法では,不法就労者を雇用するなどの不 法就労助長行為を退去強制事由として規定(入管法第24条第3号の4)しており,入国管 理局では不法就労を助長する外国人の取締りを推進している。
・国籍・地域別
不法就労者の国籍・地域は,近隣アジア諸国を中心として69か国・地域に及んでおり, 依然として多国籍の者が不法就労している状況にある。 国籍・地域別に見ると,中国が2,819人(42.1%)で最も多く,次いでフィリピン763人 (11.4%),ベトナム701人(10.5%),タイ681人(10.2%),韓国606人(9.0%)の順と なっており,これら上位5か国で全体の83.1%を占めている。なお,ここ数年の推移を見 ると,中国が高い割合を占めている。
・男女別
不法就労者の男女別構成は,男性が4,160人(62.1%),女性が2,542人(37.9%)であ り,平成25年とほぼ同様の比率となっている。
・就労内容別
不法就労者の就労内容別では,建設作業者が1,336人(19.9%)で最も多く,次いで工員 1,230人(18.4%),農業従事者946人(14.1%)の順となっている。 また,男女別に見ると,男性は建設作業者が最も多く,次いで工員,農業従事者の順 となり,女性はホステス等接客業が最も多く,次いで工員,農業従事者の順となっている。
・稼働場所(都道府県)別
46都道府県において不法就労者の稼働が確認されているところ,不法就労者の稼働場 所を都道府県別で見ると,東京都が1,175人(17.5%)で最も多く,次いで茨城県1,047人 (15.6%),千葉県955人(14.2%),愛知県794人(11.8%),神奈川県656人(9.8%)の 順となっている。 また,地区別に見ると,関東地区1都6県(東京,神奈川,千葉,埼玉,茨城,群馬, 栃木)で4,557人(68.0%)と大半を占めているほか,中部地区9県(新潟,長野,山梨, 富山,石川,福井,静岡,岐阜,愛知)も1,262人(18.8%)と多く,関東地区及び中部地 区で不法就労者数全体の86.8%(5,819人)と高い割合を占めている。(入国管理局ホームページ 入管白書「出入国管理」ー27年版より)