我が国は,難民の受入れを国際社会において果たすべき重要な責務と認識し,昭和56年に 難民条約に,次いで57年には難民議定書(以下,難民条約と難民議定書を合わせて「難民条約 等」という。)に順次加入するとともに,難民認定手続に係る必要な体制を整えてきたところ である。 その後も,より公正な手続によって難民の適切かつ迅速な庇護を図る観点から難民認定制度 を見直し,仮滞在許可制度の新設及び難民審査参与員制度の新設等を含む改正入管法が平成17 年5月16日から施行されている。 入国管理局は,難民認定制度を適正に運用するとともに,組織及び審査体制を整備強化する などして迅速かつ適切な処理に努めている。

・難民認定申請
平成26年に我が国において難民認定申請を行った者は5,000人であり,25年に比べ1,740人 (53.4%)増加し,前年に引き続いて過去最高の申請数となった。

申請者の国籍・地域は73か国にわたり,主な国籍・地域は,申請の多い順にネパール 1,293人(25.9%),トルコ845人(16.9%),スリランカ485人(9.7%),ミャンマー 434人(8.7%),ベトナム294人(5.9%),バングラデシュ284人(5.7%),インド 225人(4.5%),パキスタン212人(4.2%),タイ136人(2.7%),ナイジェリア86人 (1.7%),フィリピン82人(1.6%),ガーナ70人(1.4%),カメルーン70人(1.4%), イラン68人(1.4%),中国55人(1.1%)となっている。 また,申請者の申請時における在留状況は,正規在留が4,134人(82.7%),非正規在留が 866人(17.3%)であり,非正規在留者のうち,収容令書又は退去強制令書が発付された後 に申請を行った者は684人(79.0%)となっている。 なお,申請者の20.4%に当たる1,019人が,過去に難民認定申請を行ったことがあり,こ のうち正規在留者は696人(うち,難民認定申請中であることを理由に付与された在留資格 「特定活動」を有する者は90.2%),非正規在留者は323人(うち,既に退去強制令書の発 付を受けている者は81.1%)となっている。

・難民認定申請の処理
平成26年における難民認定申請の処理は3,169人であり,25年に比べ527人(19.9%)増 加している。その内訳は,難民と認定した者6人,難民と認定しなかった者2,906 人,申請を取り下げた者等257人であった。 なお,難民条約等に規定する難民の定義には該当せず,難民として認定されなかった者に ついても,例えば本国の状況等により帰国が困難である者又は我が国での在留を認めるべき 特別な事情がある等の特殊な事情がある者に対しては,諸般の事情を考慮した上で,出入国 管理行政の枠の中で柔軟に対応しているところであり,平成26年は110人が在留を認められ ている。

・仮滞在許可の運用
平成26年における仮滞在許可者は111人で,25年に比べ16人(16.8%)増加している。 仮滞在の許可の可否を判断した人数は901人であるが,許可されなかった者に係る主な理 由は, ① 本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては,その事実 を知った日)から6か月を経過した後に難民認定申請をしたこと…562人 ② 既に退去強制令書の発付を受けていたこと…438人である。
(入国管理局ホームページ 入管白書「入国管理局」ー27年版より)